税制と少子化対策

 岸田首相の「異次元の少子化対策」を巡り、子どもの多い世帯ほど所得税が軽減される「N分N乗方式」の導入論が急浮上しています。現在の所得税は、収入のある個人に対して課税されるのですが、N分N乗方式は、世帯単位で課税していこうというものです。戦後、少子化対策としてフランスで導入されました。それを見習って「子どもの人数が多ければ多いほど減税されるこの税制を導入して、少子化に歯止めを掛けよう!」というわけなのですが、実際のところ、フランスでの出生率に対する効果は明らかではないようです。

 またこの税制は、高所得者に有利になることや、共働き世帯に不利になるなど、格差拡大につながるというデメリットも多いため、実現するにはハードルが高そうです。少子化対策にとどまらず、様々な側面で日本の社会構造全体を見直す時期が来ているのではないかと感じます。

吉田 茂
文責
本部長 税理士吉田 茂
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